卵巣の主な働きは、『不妊の原因~女性編 卵巣因子②卵巣機能不全』でも
お話ししましたが、卵を作ることと、成熟して排卵することです
卵巣の働きには、脳の視床下部から分泌されるホルモンが密接に関わっています。
体外受精の時には、自然よりも多く卵を採るために卵巣を刺激します。
しかし、この刺激は卵巣を直接刺激するものなので、
刺激に対して卵巣が反応し過ぎ、多数の卵胞が発育するため
卵巣が腫れることがあります。
卵巣が腫れるため、お腹が張ったり、
悪心、嘔吐、乏尿、呼吸困難といった症状が出ることもあります。
血液検査にて、血液濃縮や低蛋白血症など、
また、超音波検査にて、
卵巣腫大、胸水、腹水の貯留が認められる場合は、
OHSS(卵巣過剰刺激症候群/らんそうかじょうしげきしょうこうぐん)と診断されます
血液濃縮改善のための輸液や、低蛋白血症改善のためのアルブミン投与、
乏尿を防ぐための、
低用量ドパミン持続投与といった治療が行われます。
また、卵巣腫大と腹水によって卵巣茎捻転が起こり、
急性腹症を起こした場合には、
手術による治療も行われます。
さらに重症化すると、脳梗塞や、急性肝不全などが引き起こされ、
最悪の場合、死に至ることもあるため、
早期発見・早期治療が重要となってきます
クリニックでは細かく診察しますので、重症に至ることはまずありません
妊娠が成立していない場合は、月経開始頃から
自然に症状が軽減することが多いです
しかし、妊娠が成立している場合は、胎盤からのホルモン刺激により、
さらに症状が悪化してしまいます
そのため、OHSSの症状が現れる周期での胚移植はできません
体外受精で得られた受精卵は培養・凍結され、他の周期で移植します。
でした
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