はじめて書き込みをします。婦人科を主にお手伝いさせていただいている三橋です。日記もつけたことがなく、いつまで続くか不安ですが、日ごろの診療で感じていることなど、書いてみようかと思っています。
岡本クリニックは比較的診察時間にゆとりがあるほうだと思いますが、それでも十分にご説明が届いているかいつも不安に感じながら外来をしています。短い診察時間の中で、伝わらなかったり、思いがけない勘違いをさせてしまったり、、、この書き込みが、足りないご説明の補いになれば幸いです。
今回は婦人科の子宮頚癌検診でのエピソードです。
子宮の細胞診には子宮頚部(入り口)と体部(奥)がありますが、普通に「癌検診しますね。」といわれてしているのは頚部です。子宮頚部の細胞診では、癌になりそうかどうか、癌になってしまう前でもわかることがあります。それで、症状がなくても定期的に検診を受けていると、癌の前段階でみつけて、子宮を温存したまま直すことも可能です。子宮頚部細胞診の結果は、日本では日母分類という方法で5段階にクラス分けを行っています。簡単にいうとクラスI とIIは癌の疑いなしです。クラスIII は癌ではないけど癌になっていくかもしれないので定期検診や場合によっては治療が要ります。(クラスIIIのうちIIIaはほとんどが定期検診をしているうちに治っていきます。IIIbは極まれに初期の癌が隠れていたり癌ではなくても治療を必要とすることがあり、精密検査が必要です。)クラスIVとVは癌を疑って早急に精密検査をします。検査結果をご説明するとき、「今回の結果は異常なしでした。」というとクラスIかIIです。再検査が必要なときは「クラスIIIaだったので三ヵ月後に再検査が必要です。」とか「クラスIIIbだったので精密検査が必要です。」とかいったようにご説明することになります。IIIaとIIIbはどちらも基本的には癌ではありませんし、稀に癌が見つかっても初期で治療すれば治りますから、きちんと検査を続ければ怖がることではありません。
10年以上前の話ですが、クラスIIIbのご説明をしたとき、大変ショックを受けられ、しばらく病院に来ていただけなかったことがありました。その方は少し前にお姉さまを子宮頚癌で亡くしておられ、、子宮癌の進行期別分類のIIIb期と誤解されてしまったのです。それ以来「癌ではないのですが」と強調してご説明するように注意しています。 その時も癌ではないとご説明したのですが告知してくれないのだと思われたんですね。後から笑い話になりましたが、そのときのご本人のお気持ちを考えると本当に気をつけなくては、、と反省しました。
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